依頼先決定◆結婚も建築も人間関係が大切
- このページの要約
- 建築と結婚に共通する人間関係
- 依頼先を決める
- 設計士選び
- 設計作業開始
- 家が作る本当の価値
建築と結婚に共通する人間関係
依頼先を決める要因はいくつかありますが、一番大切なのは人間関係だと思います。
自分の納得する家を建てたいと思うなら、設計士と施主、施工業者と施主、それから設計士と施工業者との、コミュニケーションがとても大切です。
人間関係は、コミュニケーションの前提条件ですので、自分とコミュニケーションが円滑にとれる人、自分の考えを家づくりに100%反映させられる人に、依頼しなければなりません。
結婚相手を選ぶように、依頼先を探す?
依頼先を決めることは、結婚相手を決めることと似ています。
作り始めてしまうと、簡単には後にはひけません。
やっぱり失敗だった!
となったときの損害の大きさや、不満を抱えつつも一緒に過ごしていかなければならない不条理さも、似ているのではないでしょうか。
結婚も建築も、ポイントは自己責任です。
人間は、他人の悪いところはよく見えて、他人の悪いところのせいにする傾向が強いです。
結婚でも、家づくりでも、気に入らないところがあると、自分以外の誰かのせいにしたくなります。
それは、不幸の扉を開く行為です。
不幸の扉を開かないためには、そういう相手を自分自身が選んだのだ。
という、自分自身の選択に対して、100%責任を負える強い心が必要になります。
相手に気になることもあるけど、この人以上に素晴らしい人はいない!
そう信じられるまで探し、納得するまで話し合うべきだと、私は思います。
結婚を期に、家を購入する人も多いと思います。
配偶者とマイホーム、どちらとも生涯いい関係で付き合っていけるように、そんなことを考えながら、家探しをするのも楽しいと思います。
家づくりプロジェクトが生み出したもの
いよいよ、依頼先を決める段階が近づいてきました。
セカンドハウスに関して、何か決めることが出てくると、夜中まで家族会議が開かれました。
この頃から、家族のコミュニケーションが質・量ともに増進していることに気づきました。
気が付けば、家作りという共通目的にむかって、家族が一致団結していたのです。
それ以前から、仲のよい家族ではありましたから、素晴らしい家ができれば、家族のコミュニケーションは、ますますよくなるだろうな〜というイメージはありました。
しかし、完成前から、家作りがこれほど、家族のコミュニケーションを増進させ、家族の人間関係を円滑にするとは想像していませんでした。
このことは、家作りの副産物というよりは、むしろ主産物である気がしています。
いい家が、家族のコミュニケーションを豊かにするのではなく、コミュニケーションのとれた家族関係だから、いい家になるのでしょう。
依頼先を決める
依頼先のピックアップ
依頼先を決める前におさらいです。
建てたい家のイメージのポイントは、以下のとおりです。
- 玄関は広め
- お風呂は広め
- トイレは2箇所&広め
- キッチンは対面式
- LDKは2階
- 広くて、天井の高い、大きな多目的スペース
- ロフト
- 和室は1部屋以上
- なるべく自然素材
- 外装は腐食に強いこと
探しに探して、みつけた形も大きさも理想的なキッチン。
大工さんも設計士さんも、多忙です。
人任せにせず、自分でできることは、自分でしましょう!
工法が先か、依頼先が先か
これらを踏まえて、依頼先をピックアップしていきます。
ここでのポイントは、工法を先に決めるか、依頼先を先に決めるか、を決めることです。
例えば、依頼先にハウスメーカーを選んだとすると、そのハウスメーカーの採用している工法で家を建てることになります。
コチラのほうが一般的でしょうか。
工法を先に決めるというのは、例えば2×4で建てよう!と先に工法を決めて、2×4で建築するところを決めるということです。
私たちの場合、依頼先は設計士と決めていましたので、どんな家をこんな工法で建てるというイメージを先に決めて、設計士を探すことにしました。
選んだ工法は、木造軸組み工法、いわゆる在来工法です。
在来工法は、日本でもっとも伝統的な木造建築の建築方法です。
柱・梁・筋交いなど、木の軸を組み立てて建物を支える工法です。
日本で最も伝統的な木造建築方法ですから、最も日本の風土気候に合っている可能性は高いと考えられます。
軸で支える構造であるため、壁の配置に制約が少なく、大きな開口部をつくれます。
また、通風や採光に優れた間取りをつくることができ、増改築が容易なのが特長です。
経済的にも、使用する木材などによって予算も柔軟に調整できます。
もともとは、木材にミゾを刻んでかみ合わせる職人技が必要な工法で、職人の経験や技術の差が出やすく、施工レベルや工期にばらつきがあったようです。
しかし、現在の建築基準では、金具の使用が義務付けられているため、施工レベルのばらつきは少なくなっています。
とはいえ、建築基準法は、安全な家を建てることを目的としていますので、施工レベルが均一であることと、いい家であることは、必ずしも同義ではありません。
どの工法もそうですが、倒れない家にはならない保証はできても、いい家になるかどうかは、やはり職人の腕しだいです。
ですから、いい大工を知っていて、コミュニケーションが取れるかどうかが、設計士を選ぶ基準のひとつです。
設計士選び
いろんな設計士の方にお話を聞いて、フィーリングのあう2人の設計士が最終的に候補に挙がりました。
地元富士見町の設計事務所のEさんと、東京の売れっ子デザイナーTさんです
東京の売れっ子設計士Tさん
Tさんは、モダンジャパニズムというのでしょうか、日本的要素を取り入れて、遊び心のある、美しい生活空間をデザインする、注目のデザイナーです。
Tさんのデザインは、バラのような美しさというよりは、蘭のようなの美しさです。
遊びがあるけど無駄がない。
矛盾する概念が共存しているのです。
私との人間関係も密ですし、デザイン力や仕事の能力はもちろん、人としても尊敬できる、大好きなデザイナーです。
地元富士見町の設計事務所のEさん
Eさんは、富士見の設計士です。
60過ぎの、構造計算が得意な設計士です。
Tさんとは対照的に、意匠ではなく、構造系の設計士ですので、Tさんのような最先端のデザインは期待はできません。
しかし、話をしてみると、一見、無愛想に見えますが、私の意見を尊重しつつ、設計士としての専門家の意見を明確に伝えてくれる、とても優しい、信頼できる人であることがわかりました。
そして、Eさんは、地元の名士で、富士見町ではとても顔が広く、役所にも顔が利きます。
デザイン重視か、地元との密着度重視か?
結論を先に言うと、結局、Eさんに依頼することにしました。
Eさんにお願いした理由は、ふたつあります。
ひとつは、Eさんは地元の名士であり、地元のいい工務店を熟知していて、役所にも融通がきくことです。
融通がきくというのは、何か悪いことをするわけではなく、田舎の独特の風習や慣習などに従って、うまく立ち回ってもらえることが期待できるということです。
意外とローカルルールは多いものです。
これを熟知しているのと、知らないのとでは、大きな違いです。
また、寒冷地ですので、その土地ならではの建築事情なども、地元の工務店のほうが安心です。
Eさんは職人肌の人で、自分の建てた家に愛情を注げる人です。
これは建てた後でわかったことですが、私たちが使っていないときにも、家に何か変化がないか見に来てくれているそうで、Eさんにして本当によかったと思っています。
ふたつめは、地元不動産業者のフォローが期待できることです。
Eさんは、地元の名士ですので、色んな人とつながっています。
地元にとけこめることができれば、田舎暮らしはより楽しいものになると思います。
地元の人を紹介してもらえる可能性がEさんにはあります
家自体のサポートと、楽しく生活するためのサポート、この二つはEさんの特筆すべき付加価値です。
結果的には、この付加価値が決め手になりました。
家は建てたあとの方が重要です。
何かあったとき、素早く対応してもらえるかどうか、そこのところはよく押えておく必要があります。
営業の人間は口では、サポートは万全ですといいますが、実際に充分なサポートができている業者はほとんどありません。
大きい会社ほど、その傾向は強いです。
むしろ規模の小さい会社ほど、サポートは充実しています。
そして、地元に密着した会社ほど、よりよいサポートが期待できます。
そんなことで、地元に密着したサービスを期待して、Eさんへの依頼にしました。
設計作業開始
実際の設計作業ですが、終わってみれば、Eさんには、図面を細かい修正を含めると、10回くらい書き直してもらいました。
大変なお客さんだったと思います。
お陰でとてもいい家ができて、Eさんともとても親密になることができました。
設計素案つくり
ここから、どんどん楽しくなってきます。 家族で家の間取りを考える会議です。
今は、無料の設計ソフトもあったりして、素人でも手軽に間取りのデザインをすることができます。 そんな感じで、家族みんなでそれぞれの意見を出し合って、ああでもない、こうでもないとやってました。
これまた、後からわかったことですが、間取りなどを決めるのも、家族全員でやることが大切です。
建てた後で必ずいたらないところが出てきます。
そのとき、意思決定に関わっていない人がいると、その人は至らない点にたいして批判的意見をいうようになるからです。
どんなにいいものですも、必ず至らないところがあります。
何を優先したから、そこが至らなくなったのか、優先順位を共有し、その決定プロセスも共有した、という事実がとても大切なのです。
私の間取りの素案をベースに、Eさんがちゃんとした図面を描き、構造計算をして、見積もりをして、すりあわせていきました。
間取りが決まってくると、後はどのようなデザインで、どのような部材を使うかを決めていきます。
設計も佳境に突入
Eさんと、話し合いをするころには、都内の住宅展示場のみならず、部材メーカーの展示場や、業者向けの展示会など、100箇所近く見てまわっていましたから、最新のデザインや部材の情報は、Eさんよりも、私のほうが持っていました。
実際そのころは、部材メーカーの営業の人や住宅展示場の人が、「それ教えてください」なんていわれるくらいでしたから、あげていたくらいでした。
その手の新しい情報は、Eさんにしてみたら、ありがたい情報でもあったようで、お互い尊重しながら意見の交換ができました。
このとき、いくつか注意することがあります。
それは、図面を描き直してもらうことに対して、遠慮はしないほうがいいということです。
私たちは、何度も何度も、図面を描き直してもらうことで、いい家ができました。
図面を何度も描き直してもらうことは、相手に対して悪いという気持ちが生まれてきます。
ついつい遠慮がちになりますが、100%気に入るまでは、妥協せずに変更・提案したほうがいいでしょう。
デザイナーはそれが仕事なのですから、遠慮なくオーダーして、よりよいデザインをしてもらってください。
ただし、デザイナーもプロとして、すべての図面を責任持って描いています。
意味のない、あるいは思慮のない変更や提案は絶対に避けるべきです。
デザイナーとの信頼関係を失うことにもなりかねません。
また、何度も描き直してもらううちに、面倒くさくなって、広さなどの検証が甘くなることがあります。
バス・トイレの設計
検証が甘くなるのは、キッチン周りや、お風呂・トイレなどに、その傾向が強いです。
順序的に他が決まった後で決めることが多いからです。
空いたスペースに押し込んでしまえ、的な発想になるからだと思います。
我が家の例で言えば、予算の関係で家を全体的に小さくしたとき、お風呂の広さが1.5畳から、0.75畳へ変更されてきました。
両親は、かなり面倒くさくなってきたので、これでは狭すぎるという私に対して、「それでも十分だ、もう描き直してもらわなくていい」と、半ば投げやりに強く主張してきました。
そこで、次の日曜日に、両親をお風呂のショールームに連れて行き、0.75畳のユニットバスの大きさを実際に体験してもらいました。
「ひとりで入るなら十分だけど、孫ふたりと一緒に入れる?」
身をもって広さを体験し、セカンドハウスを何のために建てるのか、原点に返って再考することで、お風呂0.75畳は狭いと実感したようで、お風呂は結局1.25畳タイプになりました。
お風呂に入るたび、家族全員、「0.75畳にしなくてよかった〜」と、話しています。
図面だけでは、私たちのイメージには、限界があります。
必ず、モデルハウスやショールームを回って、身をもって、イメージを体感するようにしてください。
そんな手間隙が大切です。
手間隙かければ、いい家ができます。
みなさんも手間隙をおしまず、頭と体と時間を使っていい家を建ててください。
家がつくる本当の価値
家は、一生使える、豊かな時間を過ごす空間です。
どんな家で過ごすかは、その人の人生のとても大きな一面のような気がします。
ですから、せっかく建てるなら、面倒くさがらずに頭の外にも内にも汗をかいてください。
頭がウニになるまで考えてください。
創意工夫するのは、大変ですがとても楽しい時間です。
これから、家を建てる予定のある方は、こんなに楽しいことを業者任せにするのはもったいないですから、ぜひとも主体的に関わって、楽しく明るく、自分たちらしい家を建てられることをおすすめします。
そして、100年後も使える、家族の歴史が刻める、本物の家を建てて、長く大切に使ってください。
家を建てるということは、その家の文化を創るということにつながる気がします。
素敵な空間で、素敵な時間を過ごし、家族の歴史と文化を創っていけたら、そんな素敵なことを思っています。